クレジットカードの歴史
現金を持たずに支払いができるクレジットカードは、今や私たちの生活にかかせないアイテムのひとつです。
そんなクレジットカードですが、いつ頃から登場し、どのように発展してきたのでしょうか。
ダイナースクラブ
クレジットカードの歴史のはじまりは、1950年にアメリカでダイナースクラブから発行されたチャージプレートと呼ばれるものです。
このチャージプレートを思いついたきっかけは、ダイナースクラブ創設者のひとり、F・マクナラの失敗談からでした。
ある日、レストランで会食をし、いざ支払おうとしたマクナラは、財布を忘れていることに気づき、急いで自宅へ連絡しました。
幸い自宅にいた妻が財布をレストランに届けてくれたため、事なきを得ましたが、現金がないだけで恥ずかしい思いをしたこの失敗談から、友人たちと共にダイナーズクラブを創設したと言われています。
一説では、この話は広報係であったM・シモンズの作り話であり、経営不振に陥ったマクナラが考えぬいて作り上げた画期的ビジネスモデルだったとも言われていますが、どちらにせよ、このダイナーズクラブ創設が、クレジットカードの歴史のはじまりであることは間違いありません。
そして、このダイナースクラブの一大事業に目をつけたフランクリン・ナショナル銀行が、現代のカードの大元となるクレジットカードを発行したのです。
景気が良く大量消費社会であった当時のアメリカにおいて、現金を持つことなく買い物やサービスが利用できるクレジットカードは、またたく間に人気を集めていき、旅行業界やエンターテインメント業界を中心に普及していきました。
今でこそ、ある程度の収入があれば誰でも気軽に利用できるようになったクレジットカードですが、当時のクレジットカードはステイタスの高い人しか利用できなかったそうです。
アメリカンエキスプレスとVISA
そして、1958年にアメリカン・エキスプレスがクレジットカードビジネスに目をつけ、アメックスカードを発行すると、同年、VISAの始祖であるバンクオブアメリカ銀行からも、バンクオブアメリカカードが発行されました。
その後も、アメリカン・エキスプレスはアメリカ組合を買収し、クレジットカード事業を拡大、バンクオブアメリカカードも独自の手法で着実にカードの普及率を伸ばしていきます。
マスターカード
しかし、この事態に危機を感じたアメリカの他の銀行たちは、2社に対抗すべくインターバンク・カード・アソシエーションを設立し、現在のマスターカードの前身であるマスターチャージカードの発行をはじめました。
こういった経緯で、アメックス、VISA、マスターの大手クレジットカード会社3社が誕生し、アメリカ経済の成長と共に、クレジットカード業界も発展してきたというわけです。
日本のクレジットカード
では、日本のクレジットカードの歴史はどうなっているのでしょうか。
日本で最初に設立されたクレジットカード会社は、日本ダイナースクラブ(後にシティカードジャパンとなる)です。
富士銀行(現在のみずほコーポレート銀行)と日本交通公社(後にJTBとなる)が、外国人観光客の受け入れ態勢を整える目的で、1960年に設立しました。
ここでいう外国人観光客とは、1964年の東京オリンピックでの海外顧客を意識していたと考えられます。
JCB
その動きに呼応するように、1961年に日本信販と三和銀行によって設立されたのが、現在の日本が誇る国際的クレジットカードブランド、日本クレジットビューローであり今のJCBです。
そして、1963年に日本ダイナースクラブが発行したプラスチック製クレジットカードが、世界で初めて作られた現在の形のカードでした。
現在に至るクレジットカードの形を考案したのは、実は日本のクレジットカード会社だったわけです。
その後、日本中の銀行や信販会社がこぞって、国際ブランドと提携をはじめ、日本国内でもクレジットカードの利用が拡大していきました。
このように、日本でも経済や世の中の動きに併せて、クレジットカード業界の歴史は大きく発展してきたと言えるでしょう。
当時は、お金持ちのステイタスとして扱われてきたクレジットカードも、今では、一定収入があれば誰でも気軽に所持できるようになり、家計の管理や節約用のツールとしても注目を浴びるようになりました。
もちろん、プラチナカードやゴールドカードのように、クレジットカードの審査基準が厳しく、スタイタスとしての高ランククレジットカードも健在ですが、今後も、世の中の動きに合わせて、もっと使いやすく新しいタイプのクレジットカードが登場するかもしれません。